「相続税の制度」に関するお役立ち情報
相続税の節税のために活用すべき8つの特例
1 特例を利用した相続税の減額
亡くなったご家族から財産を受け継いだ際には、相続税を納めなければならない場合があります。
相続税は、遺産となる現金や預貯金、株式や債券などの有価証券、自宅の土地や建物といった不動産などの価値を基にした計算によって、いくら納付すべきかが決まります。
相続税の計算にあたっては、基礎控除と呼ばれるものがあり、相続財産が基礎控除の範囲内であれば申告・納付をする必要はありません。
しかし、柏市は地価が高いため、亡くなったご家族が住んでいたご実家の土地の評価額も高くなり、相続財産が高額になることで相続税を納めなければならなくなるケースもありえます。
相続税は、課税所得から一定額を控除する、財産の評価額を下げる、税額を軽減するなど、様々な制度を利用することで、納付する税額を抑えられる可能性があります。
以下に、相続税を減額するための特例について紹介します。
2 配偶者の税額軽減特例で相続税の大幅減額
⑴ 配偶者の税額軽減特例とは
相続税において、非常に税額軽減の大きい制度の一つが、配偶者の税額軽減特例です。
これは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が相続した遺産の額(課税価格)が1億6000万円までであるか、または配偶者の法定相続分までであれば、相続税が課税されないという制度です。
⑵ 配偶者の税額軽減特例の具体例
仮に配偶者が1億円分の遺産を相続したのであれば、これは1億6000万円以下ですので、相続税は課されません。
また、配偶者が相続した遺産の額が1億6000万円を上回る2億円であった場合でも、仮に配偶者の法定相続分に相当する金額が3億円であるならば、相続税は課されません。
⑶ 配偶者の税額軽減特例を利用できる要件
この特例は、配偶者が法律上の配偶者であることが必要となります。
そのため、内縁関係においては適用されません。
また、特例を利用するためには、遺産分割を終わらせた上で相続税申告を行うことが必要となります。
⑷ 配偶者の税額軽減特例を利用するに当たっての注意点
相続税申告の前に遺産分割協議を終わらせていない場合、一旦は配偶者の税額軽減特例の適用がない形で申告・納税しなければなりません。
また、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出するなど、必要な手続きを行っておかないと、後から更正の請求をして払いすぎた税金を取り戻すことができなくなる点には、注意が必要です。
3 小規模宅地等の特例で相続した土地の評価を最大8割減
⑴ 小規模宅地等の特例とは
相続税は、相続した財産の「評価額」を基に計算した課税価格に対して課せられます。
相続財産の中に土地が含まれている場合、その土地の評価額を下げることができれば、相続税額も下げられます。
小規模宅地の特例とは、一定の要件に当てはまる土地の評価額を、最大8割低減させることができる制度であり、相続税額の低減に大きく寄与します。
⑵ 小規模宅地等の特例の具体例
仮に相続人が被相続人と同居していた子1人のみ、相続財産が5000万円の被相続人の自宅の敷地(330㎡以下)1つのみとします。
小規模宅地の特例を適用しない場合、基礎控除3600万円を差し引いた残額1400万円に対して課税されますので、100万円以上の相続税が発生することが想定されます。
他方、小規模宅地の特例を適用すると、土地の評価額が1000万円(5000万円-(5000万円×0.8))になり、基礎控除額を下回りますので、相続税は課されないことになります。
⑶ 小規模宅地等の特例を利用できる要件
被相続人の自宅土地を、
- ① 被相続人の配偶者が相続した場合
- ② 被相続人と同居していた相続人が相続した場合
- ③ ①、②にあてはまらない場合で3年間借家住まいであった相続人が取得した場合
いずれかの場合に該当する時に、小規模宅地等の特例を利用することができます。
適用される限度面積は、330㎡(約100坪)です。
この面積を超える場合、超えた部分については通常の評価がされます。
400㎡であれば、330㎡の部分は評価額から8割減額し、残り70㎡は評価額のまま計算し、合算します。
⑷ 小規模宅地等の特例を利用するに当たっての注意点
小規模宅地等の特例を利用する際にも、相続税申告の前に遺産分割協議を終わらせていなければ、一旦は特例の適用がない形で申告・納税しなければなりません。
また、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出するなどの手続きを行っておかないと、こちらも後から更正の請求をして払いすぎた税金を取り戻すことができなくなるため、注意が必要です。
4 相続が再度発生した場合の相次相続控除
⑴ 相次相続とは
今回発生した相続における被相続人が、過去10年以内に別の相続で財産を取得した場合のことをいいます。
そして、相次相続における被相続人が、財産取得時に相続税を支払っていた場合、その相続税の一部を今回の相続税から控除できるという制度が、相次相続控除です。
⑵ 相次相続控除の概要
被相続人が前回の相続で支払った相続税のうち、今回の相続までの経過年数に10%を掛けた金額を差し引いた金額が控除額となります。
たとえば、前回の相続で被相続人が300万円の相続税を支払い、前回の相続から1年以内に被相続人が亡くなってしまった場合、経過年数はゼロなので、300万円が控除されます。
5 未成年者控除
相続税が発生する場合において、相続税を課される相続人(法定相続人)が未成年者である場合、その相続人は相続税が一部控除されます。
未成年者控除は、相続財産の評価額ではなく、具体的な相続税額から控除されるため、高い節税効果が得られます。
具体的には、20歳に達するまでの年数(1年未満は切り捨て)に10万円を掛けた金額が控除されます。
例えば相続時に9歳である場合、(20-9)×10=110万円が税額から控除されます。
6 相続人が障害者だった場合の障害者控除
⑴ 障害者控除特例とは
相続によって財産を取得した相続人(法定相続人)が障害者であった場合、相続税が一部控除されます。
未成年者控除と同様、具体的な相続税額から控除されるため、こちらも高い効果が得られます。
あくまでも相続人が障害者であった場合の制度ですので、被相続人が亡くなる直前に重度の認知症などであったとしても認められません。
相続税控除が認められる障害者には2種類あります。
⑵ 一般障害者の場合
身体障害者手帳上の障害等級が3級~6級の方、または精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が2級~3級の方が、一般障害者に当てはまります。
一般障害者の場合、相続時の年齢から85歳までの年数(切り上げ)に10万円を掛けた金額が控除されます。
相続人が72歳と数か月であれば、13年×10万円=130万円が控除されます。
⑶ 特別障害者の場合
身体障害者手帳上の障害等級が1級~2級の方、または精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が1級の方が特別障害者に当てはまります。
特別障害者の場合、相続時の年齢から85歳までの年数(切り上げ)に20万円を掛けた金額が控除されますので、上記と同様のケースでは260万円が控除されます。
7 亡くなる前に贈与を受けていた場合の控除
被相続人が亡くなる前の一定期間内に、被相続人から贈与を受けていた場合、原則として、当該贈与された財産は相続税の課税対象となります。
もっとも、この贈与に対してすでに贈与税を支払っていた場合は、税の二重払いとなってしまいます。
これを防ぐために、支払い済みの贈与税額を相続税から控除することができます。
ただし、控除の対象となるのは、相続開始の一定期間内に行われた贈与に関して支払われた贈与税のみですので、注意が必要です。
8 農地を相続した場合の納税猶予と免除
農地を相続した場合、一定の要件のもとで相続税の納税が猶予され、その上で免除されることがあります。
この制度は、農業を続けることが困難になってしまう人が増え、国家の生産力が低下することを防止するためのものです。
相続税の納税猶予および免除が適用される要件は様々なものがあります。
最も一般的なケースの概要を紹介しますと、被相続人が死亡する日まで農地を使って農業を営んでおり、その農地の相続人が相続税申告期限まで農業を引き継ぎ、その後も継続する場合です。
この状態ではまだ納税猶予がされるだけですが、農地を相続した相続人が亡くなると相続税が免除されます。
9 海外で相続税を支払った場合の控除
海外ですでに相続税を支払っている場合、日本で支払う相続税が控除されます。
控除が受けられる要件は、国外の財産を相続または遺贈により取得し、かつその国外の財産が存在する国で相続税に相当する税を課せられた場合です。
国外の財産が存在する国で支払った相続税に相当する税の金額か、日本における相続税額に相続財産全体のうち国外の財産が占める割合を乗じた金額のいずれか少ない額が控除されます。
10 柏で相続税の節税をお考えの方は当法人にご相談ください
相続税を節税するための特例には様々なものが用意されていますが、適用するための要件や、適用した場合の税額の計算はとても複雑です。
これをご自身で計算して相続税申告を行い、税務署の指摘や修正を回避することは困難だといえます。
当法人では、相続税申告に重点を置き、相続税にお悩みの方をサポートさせていただいております。
当法人では、JR線および東武アーバンパークライン柏駅北口から徒歩約2分の場所に柏の事務所を設けております。
相続税にお悩みの際は、ぜひ当法人の無料相談をご利用ください。